ロンドンのパブで誕生 – GARGERY STOUT

2011年1月4日
Category - ビールの話 ブランド・ストーリー
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Author - M.Sasaki

GARGERYのフラッグシップであるスタウトビール。今でこそGARGERYというとスタウトをイメージされることが多くなりましたが、ブランドの開発当時、GARGERYブランドの最初のビールを何にするかは、ブランドのイメージを左右する非常に大きな課題でした。実は、その方向が見えたのはロンドンのパブだったのです。

ビールを飲みまくる旅で

2002年1月、新ブランド立ち上げに向けてのプロジェクトを進めていた私と「みねばん」さん。「小規模醸造所に製造を委託し、コンディションに徹底的にこだわったビールを飲食店に提供する」という基本的なコンセプトは決まっていたものの、最初の液種を何にするか・・・という点で頭を悩ましていました。そこで、何を造るにしてもまずはビールの本場を訪ねなければ・・・ということで、英国、ベルギー、オランダを巡る旅に出たのです。
旅の途上、様々なビールを飲みまくりながら議論を交わした結果、ロンドンのとあるパブで、「ビター&スタウト」(苦くて強い)というキーワードにたどり着きました。さらに、「新しいものを始める以上、徹底的に振り切ってしまおう!」  GARGERYブランドのフラッグシップが「スタウトビール」になる方向が見えた瞬間でした。

ロンドンパプパイント

スタウトビールとは

スタウトビールの原型は、1700年代前半に造られた、苦味が非常に強く色も濃いエールビール。このビールは英国の荷役運搬人(ポーター)たちに好んで飲まれていたことから「ポーター」と呼ばれていました。その後、1700年代後半、アイルランドのビール会社ギネス社が、より強いポーターとして「スタウト・ポーター」を売り出します。このビールは人気を博し、やがて単に「スタウト」と呼ばれるようになり、現在のスタウトビールにつながっているのです。ちなみに、スタウト(STOUT)とは「強い」という意味です。

GARGERY STOUTは5種類のモルトをブレンド

ここで、GARGERY STOUTについて紹介します。GARGERY STOUTは、以下の5種類のモルト(麦芽)を使って醸造されます。

  • Pale Ale Malt (ペールエールモルト)
  • Munich Malt (ミュンヘンモルト)
  • Wheat Malt (ウィートモルト)
  • Crystal Malt (クリスタルモルト)
  • Chocolate Malt (チョコレートモルト)

このうち、ウィートモルトが小麦から作られるモルト、他の4種類が大麦から作られるモルトです。写真の左側がペールエール、右側がウィートです。大麦と小麦の形態の違いが一目瞭然ですね。

ペールと小麦

そして、スタウトビールの一番の特徴である黒色は、クリスタルモルトとチョコレートモルトによってもたらされます。下の写真の左から、ペールエール、クリスタル、チョコレートです。

モルト3種

モルトは、製造工程の最後でキルンと呼ばれる設備に入れられ、通常85-90℃で乾燥されます。淡色であるペールエールモルトはここで出来上がりですが、クリスタルモルトはその後ロースター(焙煎機)に入れられ、粒の内部が液体化、カラメル化するまで、焦げない程度の温度(60-80℃程度)で加熱されます。一方、チョコレートモルトは、さらに強くローストされ焦がされます。温度は200℃以上に達します。写真を見ていただくと、外部、内部のそれぞれの違いが良く分かると思います。
こうして造られたモルトを、ペールエールモルトを中心としてブレンド使用することにより、GARGERY STOUTのあの綺麗な黒色が醸し出されるのです。

ホップは3種類を使用

GARGERY STOUTに使用するホップは3種類です。

  • Saaz (ザーツ / チェコ・ザーツ産)
  • Hersbrucker (ヘルスブルッカー / ドイツ・ハラタウ産)
  • Northern Brewer (ノーザンブルワー / ドイツ・ハラタウ産)

ザーツとヘルスブルッカーは「アロマタイプ」と呼ばれる香り重視の品種、ノーザンブルワーは「ビタータイプ」と呼ばれる苦味重視の品種です。GARGERY STOUTでは、それぞれの特徴を生かすべくブレンド使用することで、あの深みと穏やかさを兼ね備えた苦味を実現しています。
ところで、ホップは、毬花(まりばな)と呼ばれる雌株の未授精の花(写真左)がビールの原料となります。雌雄異株の植物であるホップ、雄株はビール造りに関しては全く役に立たないのです。また、毬花の状態では使いにくいので、近年ではほとんどがペレット状に加工された状態(写真右)で使用されます。

ホップ

ガージェリー・スタウトはギネスよりも濃くて苦い、でも飲みやすい

スタウトビールとして世界的に有名なのは「ギネス」です。世界で最初にスタウトを造ったのもギネス社。GARGERY STOUTはギネスと同じ「スタウト」のカテゴリーに入るビールですが、味わいは全く異なります。現代のギネスよりもはるかに濃くて、苦いビールです。つまり、モルトの使用量も、ホップの使用量も圧倒的に多い。

・・・しかし、飲みやすい。

人によっては「ギネスよりも軽いね」という感想をいただくことさえあります。その秘密は長期熟成とコンディション。このあたりについては、また稿を改めて紹介します。

商品 タイプ(全て上面発酵) 発売
GARGERY STOUT スタウト / 樽詰 2002/12
GARGERY ESTELLA ペールエール / 樽詰 2004/6
GARGERY23 Wheat ヴァイツェン / 壜内熟成 2009/7
GARGERY23 BLACK スタウト / 壜内熟成 2010/5
GARGERY23 Xale ペールエール / 壜内熟成 2012/9