―オブジェを作るきっかけは、学生時代に見た雑誌だったとか?
  はい。あるとき偶然見た男性ファッション誌の「スタイリスト募集」に 応募したところ、編集の方に会っていただけることになって、そこで自分の立体作品をたまたまお見せしたのがきっかけです。スタイリストの仕事と 直接関係ないとは思いつつ、「趣味や学校の課題で、こんな立体も作っているんです」と作品ファイルをお見せしたら「実は今ちょうど撮影に必要なものが あって…」と依頼をいただいて。そこからオブジェ制作の仕事が 始まりした。
  ―1つの作品をつくり上げていく工程を教えてください。
  まず依頼してくださった編集者の話を聞いて頭の中でプランを立てます。 それから紙にラフを描きます。自分のイメージしたものを素材や制作工程をふまえて整理しつつ描かないと、後の制作段階で不具合が生じるので、一番 真剣に考えるところですね。その際、時間の許す限り編集者の希望を 聞いて、出来るだけ意向に沿った作品を考えます。ラフが出来上がった ら、編集者に 提案し、OKの返事が出たらいよいよ制作に。材料を揃えて、ラフを頼りに 形にしていきます。たとえ自分らしさが前面に出しづらい オーダーでも、私に発注していただいたことを有難く思い、そして楽しんで 作ることを心掛けています。こうして依頼されてから完成するまで、2週間 あるか ないか。場合によっては1週間で納めなければいけないときも あります。
  ―とても短いですね。すごく大変そう。
  やはり時間の問題は大きいです。でも間に合わせの仕事では、次に続かないと思うので、一つ作るたびに「もしかしたら、これが最後の仕事かもしれない 」という気持ちでやっています。 そう、毎回が勝負!妥協せず、自分が面白いと思うもの、本当に良いと思えるものを作っていきたいです。
  ―突然ですが、GARGERYに合うオブジェは?
  飲み口がさらっとしすぎないGARGERYは、すごく優雅な感じがします。旅先で 飲みたくなる特別なビールのよう。これに合うのは……シンプルでシャープな 感じに優雅な風合いの素材を加えたいですね。オーガンジーほど甘くない、もう少し柔らかい質感をちょっとひねった、でも凛々しさもある…。上手く言えなくてごめんなさい。でも、いつもこんなふうにして悩みながら作っています、ぐるぐると(笑)。
  ―布や紙など様々な素材を使った作品がありますね。
  素材は、生地屋のほかにホームセンターや釣り道具屋で探すこともあります。これは以前勤めたアトリエでお世話になった、ひびのこづえさんの影響が 大きいかもしれません。思いがけないお店で素材を集めては、作品に印象的に取り入れる方でした。柔軟な視点を学びました ね。あらゆる 素材をいつか何かに使えるかもしれないと溜め込んで、捨てられない性格にもなりましたけれど(笑)。
  ―どれも丁寧に作られていますね。
  写真になると想像以上に作品がシャープに写ります。どのアングルでも撮って いいように、見えないところも気に掛けます。それが自分の 役割ですので。
  ―なぜオブジェ制作と並行にバッグを作ろうと思ったんですか?
  ひびのこづえさんのアトリエで働いていた頃、打合せにいらした方が資料を 持ち帰っていただくときに、それを入れる簡単な袋がなかったんですね。 「お菓子の紙袋を使って頂くのもスマートじゃないし、ちょっとおしゃれなことをしたいよね」という話になり、そこでアトリエに余っている生地で 簡単な手さげを私が作ることになったのです。切りっぱなし縫いっぱなしの 袋に、ショップのリボンなどを持ち手にして、1回使えれば充分なものを 作りました。やがてその手さげは「おもしろい」「気に入って何回も使って いる」との声をいただくようになって…。そのことが嬉しく て、次第に 自分が欲しいと思うバッグを作るようになり、今に至ってます。でも、まさか仕事に なるとは思ってもみませんでした。
  ―手作りにこだわる理由は?
  買ってくださる方のことを考えると、自信を持っておすすめしたいもの、 満足していただけるも の、恥ずかしくないものを作りたいし、全工程を 自分の目で確かめないと安心できないので、どうしても手作りになってしまいます。思い入れがあるからこそ、自分の手で1個ずつ作りたいんです。 もう一つは、今、量産化によってモノが溢れていますが、その反面、 たくさん残ってしまう問題が生まれました。 私はそんな過剰な物作りに抵抗を 感じます。自分は、行き着く場所に届くだけの数を丁寧に作り続けていきたい 。自分の目の届く範囲で作り続けていきた い。それが私にとって、 一番幸せな目標とする物作りと考えて います。
  ―これから作ってみたいものはありますか?
  線で描くアクセサリーを作りたいです。ちょっとデコラティブでオブジェ的な もの。針金でベースを作って、それに引き裂いた生地を巻きつけて、 鉄の冷たさではないハードなアクセサリーを挑戦中です。特別なときにだけつけるものではなく、日常使いにも可能で耐久性とボリュームのある 馴染みやすいものを目指しています。でもどんな素材がベストなのか、まだ手探り状態。これからもっと追求していきたいと思っています。
  ―今後は?
  ひとつの仕事が次の仕事を呼んでくれると信じています。毎回を精一杯やるだけです。そし て、たくさんの人に支えていただいているから こそ今の私がある。そのことに感謝しながら、 ひとつずつ大切に仕事をしていきたいです。
  1972年神奈川県生まれ。女子美術短期大学造形科衣服デザイン教室に
在学中、雑誌を中心にオブジェ制作をスタート。同短期大学を卒業後、
1996年 コスチューム・アーティストひびのこづえ氏のアトリエに勤務。
2001年 アトリエを離れフリーとしてオブジェ制作を本格的に始動。
同時にバッグ作りを始める。2004年12月に初のメイキングブック
「toboの定番バッグ」 (マーブルトロン刊/中央公論新社発売)を出版。

<オブジェ作品掲載媒体>
婦人公論,nicola, beauty recipe, Pre-mo, Baby-mo, Saita, non-no, MORE,
BAILA, SPUR, LEE, Oggi, 美的, gli, LUCi, ESSE, SEVENTEEN, zakka catalog,
Muffin, In Red, Urb, SAY, BOAO,
ヤングユーコミックス「白衣でポン」
たかさきももこ著 表紙(2000〜2004年/1〜11巻)

<衣装制作等>
2000〜 アーティスト・きむらとしろうじんじん氏「野点」衣装
     (水戸芸術館他)
2001 第3回アジアビューティーエキスポ NAKANOブースにおけるヘア
    ショウのための衣装(パシフィコ横浜)
2003 (株)丸山園 chato 恵比寿アトレ店 エプロン
2004 (株)丸山園 chato 北千住丸井店 ユニフォームコーディネート

<バッグ取扱店>
東京 NADiff  tel: 03-3403-8814
仙台 NADiff bis  tel: 022-265-7571
茨城 Contrepoint(水戸芸術館ミュージアムショップ)tel: 029-227-0492
神戸 antic  tel: 078-392-8522

連絡先
mail@tobo.jp
http://tobo.jp