-辻さんの作品は「陶芸」というよりもオブジェに近いですよね。あまり見た事がないタイプの陶芸作品だと思うのですが。
僕は陶芸家になると決めた時から、陶芸のイメージを変えたかったんです。だから、アクリルの中に作品が浮いているように見せたり、木とうまく融合させたり、違う素材とのMIXを常に試してきました。手法も伝統的な作家の方とは違っていて、粘土の固まりをそのまま乾かしたものを、彫刻のように彫って形を作り、それから最後に焼き上げます。普通は形を作ってから乾かして焼くんですけど。ある日思いついて試してみたら、彫刻の工程が増えるので手間はかかりますが、今まで陶芸では難しかったデザインも作りやすくなりました。また、どの角度からでも作品として見られるように工夫して作っているので、個展では1人1人手に取って見て頂けるようにしています。裏まで見てもらいたいし、重量感も含めて五感で感じて貰いたいんです。逆にお客さんが緊張しちゃう、その緊張感が良い。緊張感を持って見てもらえると、価値観がより伝わりやすいんです。伝統的な陶芸は昔からいろいろありますけど、新しい、モダンな方が面白い事が出来る。とにかく、いろんな方に気付いて貰いたいんです。「陶芸でもコラボ出来るじゃん」とか、「こういうスタイルがあるんだ」ってことに。だから新しい事は積極的に取り込むように心がけています。
-どこからそのようなアイディアが生まれるのですか?
もともと建築家になりたかったんです。計算が苦手なんで諦めたんですけど(笑)。建築に興味があったんでプロダクト的なラインも意識するようになって、陶芸でコンセプトカーのような、未来的なデザインを表現してみたいと思うようになりました。デザイナーのルイジ・コラーニの流れるラインがすごく好きで。いずれは建築物のデザインをやりたいですね。陶芸だとサイズに限りがありますけど、建築は一番大きいオブジェというか、遠くからでも見える作品なんで、デザインは自分でやって、一級の免許を持っている人に設計して貰って。ジャンルを問わずいつもアンテナは張りめぐらせています。それをうまく消化して、そこからまた自分の中で勝手に連想していくと良いアイディアが出て来るんです。女性誌もよく見ますよ。ジュエリーにしても、身につける物にしても、こういうアイディアがあったんだね、って発見があるんです。外に遊びに出るのもすごく大切。家にこもっていちゃいけないですね。
 
-作品のテーマと、これからの目標を教えて下さい。
僕の中だけの宇宙観というのがあって、宇宙っぽさとか、未来っぽさというのをずっとテーマとしてきました。今ではそれにラテンっぽさ、女性を口説くときのちょっと色っぽいイタリア男性のイメージが加わりました。雰囲気みたいなものを形に変える。何だか分からないけど明るい雰囲気が伝わって来るよ、っていう、そんな作品を目指しています。小さい頃から宇宙には興味ありましたね。銀河系以外にも同じような銀河が何千万個もある、っていうのを読んだ事があって、地球だけでもすごいって思うのに無限の魅力、夢、底知れぬ力が宇宙から感じられる。もともとは何もなかった所にチリやいろんなものが集まって星になる。陶芸も同じように何も無いところから形を作り出す。もともとは草だったりしたものが死んで、形が無くなって、それでまた何千年も何万年も眠った物を僕たちみたいな人が拾って、また使って、形を作って、命を吹き込む。そのことが、僕がちっちゃな宇宙を作っているんじゃないか、って思えるんです。将来のユメは、作品を宇宙で焼くこと。窯の温度に近い太陽の軌道を、作品を積んだ衛星にぐるっと1周回らせて、地球に帰って来た頃には焼き上がってる。太陽焼き、みたいな(笑)。そんな事が出来たら面白いですよね。
2歳から土に親しみ、従来の陶芸のイメージを変え、明るく都会の光彩を放ち、宇宙をめざした作品創りを志す。2001年にBVLGARIの時計の部品から新感覚のモダンなオブジェを発表し、ブルガリのアーカイブに日本人初の作品永久所蔵となる。また2002年にはAudiのアートカー(TT Coupe)を手がけるなど、陶芸以外でも幅広いジャンルで多才な活動を続けている。
作品展
1998年 辻厚成 作陶50周年 「土と炎」特別出品/ BMWスクエア
1999年 辻厚成と辻厚志 「FROM FLAME TO FLAME」/ ダビドフブティック ホテルニューオータニ
2000年 個展 「宇宙〜GLOBALIZATION」/ サンローゼ赤坂
2001年 Kosei&Koji TSUJI/ カッシーナ・インターデコール新本社SPAZIO1
Kosei&Koji TSUJI / カッシーナ・インターデコール青山ショールーム
2002年 「忙中間展」特別出品/ 東京国立近代美術館アクア
2003年 「アカンタ ブティック オープニング記念Exhibition」/ 帝国ホテル
2004年 5月 個展 / アメリカンクラブ 秋 個展開催予定
 
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