MBL #9 「生きる」ということに向き合うSaenoさんとワインバー「ete」

2011年12月24日
Category - ガージェリー飲むなら その他 東京都 豊島区
Author - M.Sasaki

お酒を愛するレディと大人のひと時を過ごす「My Beer Lady」、略してMBL。回を重ねること9回目となる今回は、神経内科専門病院に看護助手として務め、来春には介護福祉士の資格を取ることを目指しておられるSaenoさんの登場です。仕事柄、常に人の生死に直面されているSaenoさんならではの、奥深い、考えさせられるお話を伺いました。

MBL川島

人の生、そして死に向き合う日々

Saenoさんの今の職場は、神経内科の専門病院。入院されている患者さん全員が人工呼吸器を使われているそうです。そういう世界をよく知らない私からすると、とても大変な、厳しい仕事だと単純に思ってしまいます。常に人の死に直面し、どうしようもない重苦しさに包まれているような・・・。そういう面でのストレスを感じることがありますか?と聞いたことに対するSaenoさんの返事です。

一つだけ、いまだに慣れないことは、入院されている方が亡くなることです。これに対する恐怖心、悲しみ、死に対する思いは、その場に何回居合わせても慣れることはありません。
でも、入院していても、人工呼吸器をつけていても、皆さん生きている方々です。だから、そこにあるのは人間同士のお付き合いであって、そのことで滅入るとか、ストレスを感じることはありません。むしろ、「生きる」ということを考えさせてくれる方々なのです。

Saenoさんは「死」の側面からではなく、「生」の側面から入院されている皆さんと接しておられているのだと思います。そして、「ありがたいことに、仕事が終わるとそれで全部終わり・・・という性格なんです。でも、体力と仕事の後のお酒は必須です。美味しいものがあると楽しいし・・・。」と笑いながら語るSaenoさんの明るさも、厳しい仕事に立ち向かう力になっているのでしょう。

「生きる」ということ

人工呼吸器と聞くと、どうしても「延命治療」という言葉を思い浮かべてしまいます。機械の力を借りて、意識がなくても、さらにはその意識が戻る可能性がなくても生き続けることがどういうことなのか。私自身、この歳になると時折そのことを考えさせられる場面に遭遇します。これに対するSaenoさんの答えは明快です。

意識があろうがなかろうが、人は生きています。髪は伸びるし、髭は生える、爪も伸びるし、肌は温かいし、血圧だって変わる。
自分の家族がそういう状態になった時、延命治療はしなくてもいいという本人の意思を聞いていればそうできるかもしれないが、そうでなければ、「延命治療はしなくてもいいです」とは絶対に言えない。家族には生きていてほしいし、意思疎通ができなくてもそこにいてほしい。やっぱり、そこにいるっていうことが生きているということだし、一緒にいると思えるから。

Saenoさんのライフワーク ~ 朗読ライブ

Saenoさんは学生時代、演劇学科の演技コースで舞台の勉強をされていました。「それで食べていけるとは思わなかったけれど、一応は役者を目指していたんですよ・・・」と振り返ります。そして、ちょうど「やるだけやった」と思えた時期が、介護や療養病棟、アートセラピーといった言葉が広まり始めた時代で、意外と自然に介護の世界に入っていったそうです。
とは言え、最後の舞台から12年が経ち、やはり演劇の世界が好きなのでしょう、今のSaenoさんのワイフワークは、自ら企画し、自ら演じる「朗読ライブ」です。
昨年の演目は、坂口安吾の「桜の森の満開の下」、そして今年10月は、江戸川乱歩の「人間椅子」。仕事では癒しが大事ですが、こちらは癒しとは無縁の世界。友人や職場の仲間に集まってもらい、お酒を飲みながら、どちらかというと普段使っていない無意識の部分をザワザワとさせられたら面白いな・・・と語ります。
私もとても興味をそそられました。次回のライブは来年2012年秋の予定で、まだしばらく先ですが、楽しみに待ちたいと思います。

MBL川島2

天国で飲めるガージェリーを

さて、話は再び戻ります。
Saenoさんからのオファー、「天国で飲めるガージェリーを作ってください!」。

例えば、お酒好きの親しい友人が亡くなった時、すごく悲しいけれど、「大丈夫、向こうでもガージェリー飲めるから。」みたいに送ることができたらとってもいいですよね。
自分は、「向こうにBAR HEAVENがあるから、そこでちょっとガージェリー飲んでくるよ。時間はいくらでもあるし、向こうでまたゆっくり飲みましょうね・・・」みたいな感じで逝けたら素敵です。そう思うと死ぬのも怖くないですよね。BAR HEAVENに天国でしか飲めないGARGERY CLOUD(!)があって、そこではリュトン・グラスの台座がなくてグラスだけが雲の上に浮いていて・・・とってもおしゃれ。そして「天国も悪くないよね」と思えればいいじゃないですか。後悔とか反省も大事だけれど、今この瞬間を肯定できることが幸せなことだと思うので。

「ガージェリーの海外進出はなくてもいいけど、天国には送ってもらわないとちょっと困るな・・・」とSaenoさんから言われ、酔い掛けた頭で真剣に中身を考えてしまった私でした。いつの日か、そんな素敵なガージェリーも作ってみたいものです。

大事な人を、今この瞬間に大事にしたい

「人の死は突然にやってきます。仕事をしていて、この人はすぐに天使になってしまうかも・・・と感じる人がいたとしても、意外に他の方があっさりと天使になったりしてしまうことがあります。そういう場面に直面すると、大事な人は、本当に今この瞬間、大事にしないといけないなと強く感じます。遠くの話ではないんです。」とSaenoさんは言います。そして、「死の迎え方、家族の対応、死の瞬間、その空間、みんなもう少し考えた方がいいです。死に方は、その人の生き方そのものなのですから。」

今回のSaenoさんとのお話は、とても重い話題でした。そうでありながら、柔らかい真綿でくるむような優しい言葉、普通の笑顔で話をしてくれるSaenoさんとやり取りすることで、自然に「生と死」について考えることができたようです。生きている誰もが間違いなく迎える「死」。避けて通れないものだからこそ、自分の生き方の一部として、日頃から考えておくことが大事なのかもしれません。

迎えるクリスマス、そして年末年始、自らの生き方を見つめ直し、生、死、家族について、静かに考えてみてはいかがでしょうか。

池袋西口のワインバー 「wineBar ete」

今回のMy Beer Ladyの舞台となったのは、池袋の西口五差路からほど近いワインバー「ete」(エテ)さん。400本近くを収容できるというこだわりのワインセラーがカウンター奥に据え付けられ、コンディションにとことんこだわったワインと、それに合わせたジャンルにこだわらない料理を楽しむことができます。
Saenoさんといただいたのは「忘年会&クリスマススペシャルプラン」なるメニューで、一人3,000円。Saenoさん曰く「このコース、めちゃくちゃお得なプランじゃないですか!」というプランの中身は・・・

eteフード
  • ムール貝の白ワイン蒸し
  • 小柱とオリーブのサラダ
  • イタリア産生ハムとマッシュルームのピッツァ
  • 洋風つくね 年末バージョン
  • ポルチーニとニョッキのグラタン
  • 牛肩肉の赤ワイン煮込み

本当は、これに加えて「4種チーズソースのペンネ」もあったのですが、二人ともとても食べきれず、泣く泣くキャンセルさせていただきました。
今回のプランは年末スペシャルですが、普段もとってもお得で美味しいプランが用意されています。是非、ガージェリーと共に味わってみてください。

ete店内
池袋西口 wineBar ete
お取扱い GARGERT ESTELLA / GARGERY STOUT
(季節によって入れ替え)
営業時間 18:00~24:00(日曜は~23:00)
定休日 月曜日
住所 東京都豊島区池袋2-3-5 曙ビル2F
電話 03-6915-2467
最寄駅 各線 池袋駅
Website 池袋西口 ワインバー・エテ

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